デジタル作画が全盛の現在、
全て手描きでキャンパスに描き込む永井氏。
今回は特別にその制作過程を見せてくれた。
まずは空と地面の比率を決め、
空の青を均一に塗ります。
次は下部の構図を決め、
着色していきます。
直線を描く時は烏口という道具を使います。
烏口の先端に絵の具をつけ、
定規を使ってラインをひきます。
鉛筆で下描きした線に沿って、
勢いよく直線をひいていきます。
4711ポーチュガルのロゴをプールのパースに合うように
変形させて描いていきます。
単色だった空にエアーブラシで
グラデーションをつけていきます。
空の下部がうっすら明るくなりました。
海と波を描きます。
そして永井氏の代名詞でもあるヤシの木を描きます。
この時点ではまだ単色のシルエットのみ。
ヤシの木や植物に陰影をつけて、
細かく着色していきます。
描き込みが全体に行き渡り、
完成にグッと近づきました。
椅子とテーブルを描き足していきます。
プールに写り込んだ反射模様も丁寧に描いていきます。
未着色だったプール台とタオルを着色します。
鮮やかな黄色のタオルが差し色となり、
全体のアクセントとなりました。
仕上げに、手前の木漏れ日影と、
プール全体の反射をバランスを見ながら
上から塗り重ねていきます。
最後に気になる箇所を整えて、ついに・・・!!!!!
私のイラストの世界に、4711ポーチュガルが入ることを楽しみながら描きました。ヤシの木が海から運ばれてくる心地良い風によって揺られています。風が優しく香を運んできてくれるような、そんなイメージでこのイラストを描きました。
永井 博
描きなれた風景とは違い初めて描くものなので、
現物を何度も確認しながら下描きします。
ロゴの形など間違えないように
慎重に描いていきます。
実物の印象に近い色をセレクトし
着色していきます。
細い文字の部分ははみ出さないように、
特に注意して進めます。
全体のイメージが出来上がってきました。
ここから細部を描き足していきます。
今回の作画の最難関。
下部の白文字が
小さくどこまで再現できるか慎重に進めます。
これで完成!!っと思いきや、
実物をよく見ると
「4711 Portugal」の部分がゴールドになっていました。
光の反射によって白っぽく見えていたロゴ部分を再度調整。
「4711 Portugal」のロゴ部分にゴールドを塗り重ねていきます。
最後に全体の色のバランスを整えて・・・。
今回は商品ボトルも描きました。最初に小さくボトルを描きすぎて、細部まで描くために、描き直しもしました(笑)。ボトルの精緻さやゴールドの部分の色遣いには、かなり気を遣いました。
永井 博
4711ポーチュガルを題材とした作画のお話をいただいて、その香りやボトルの形状を見て昔どこかでこの商品に出会っていたことを思い出しました。今回のイラストをアートのひとつとして、若い方たちにも観ていただければ嬉しいですね。70歳を過ぎた今でも、ありがたいことに作画のオファーを多くいただき忙しくさせてもらっています。そんな中でも今回の作画は特に楽しかったですね。
永井 博
永井 博HIROSHI NAGAI
1947年12月22日、徳島市に生まれる。グラフィックデザイナーを経て、1976年よりイラストレーターとして活躍。大瀧詠一の「A LONG VACATION」、「NIAGARA SONG BOOK」等のレコードジャケットに代表されるトロピカルでクリアな風景イラストレーションを得意とする。そのイラストの作風は独自の地位を築き、多くのアーティストのレコード/CDジャケットを飾る。2017年7月には「time goes by…」が復刊し、2019年7月にDAIKANYAMA TSUTAYA BOOKSより画集「CONTRAST」が出版された。
4711ポーチュガル/オーデコロン
地中海の強い日差しをイメージさせる4711ポーチュガル。
スイートオレンジ&レモンのフレッシュな香りから、
コリアンダー&アーモイズのスパイシーな香りに変化。
最後はエボニー・ムスク・モスといった大人らしい深みのある
ウッディ&アンバーな香りを楽しめます。